Creative Circuit® は、東芝が多様なステークホルダーと価値を共に創り出すために立ち上げた場です。組織や専門性を越えた人々がつながり、一人ひとりの創造性を発揮できるプラットフォームとして、対話・思考・試作が連続して起こる空間が求められました。そのため、単なるコミュニケーションスペースではなく、緻密な運用を支えるデザインが空間全体に施されています。
本プロジェクトが展開されたのは、ビル全体のエントランスフロア。天井高があり、花崗岩やステンレスといった硬質なマテリアルに囲まれた空間でした。そこで、有機的な形状の壁面や舞台のような床を挿入することで、場にやわらかさと動きを与えています。既存空間を「環境」として読み解き、その特性を活かしながら空間の個性をかたちづくる——そのアプローチが、場の唯一性を支えています。
空間は行き止まりを排し、どこにいても「向こう側」を感じられるような回遊型のプランニングとしました。視線が抜け、動線が自然に交わることで、人の流れと多様なオペレーションを同時に許容する構成に。多くの使い方を想定しながらも、空間の一体感を損なわない設計がなされています。
共創を促すためには、誰もが安心して過ごせる空気感が不可欠です。そのため、素材には柔らかな色調や肌理のある仕上げを採用し、壁のスリットや隙間によって、空間同士の視覚的なつながりをつくりました。空間全体がやさしく人を包み込み、ふとした視線や気配を通じて他者の存在を感じられる、そんな“場の包容力”が意図されています。
設計途中で迎えたコロナ禍という困難な局面においても、プロジェクトチームは前向きな議論と共創を重ねました。オンライン・オフラインのハイブリッドな活用も視野に入れながら、当初のコンセプトを堅持。発注者と設計者という関係を超えたこのプロセス自体が、まさに共創の象徴といえるでしょう。東芝の技術を取り入れた感染症対策も実装され、ウィズ/アフターコロナ時代の新しい共創空間のひとつのモデルとなりました。
このプロジェクトは、国際的なデザイン賞「iF DESIGN AWARD 2022」を受賞しました。
Toshiba co-creation center Creative Circuit® として、未来の共創空間の先駆けとなる取り組みが国際的に評価されています。
プロジェクトメンバー
パートナー